笑顔で小さく手を振る

美由紀さんの自慰を目の前で見ながら、僕もムスコを扱いた。

 

すぐにでもイッてしまいそうだよ。

 

ときどき、手を止めながら、僕は射精を先延ばしにした。

 

だって、気持ちいい時間をもっと味わいたかったから。

 

「あっ、あっ、あっ、ああっ……」

 

「しょ、美由紀さん……僕も、イキそうだよ」

 

美由紀さんのスカートはすっかり捲くれていたけど、僕も美由紀さんもそれどころじゃなかった。

 

仰け反って、両脚を突っ張った姿勢で、美由紀さんが大きな声を上げる。

 

僕は、止めていた右手の動きを再開させて、一気に昇りつめた。

 

「ああっ……いいっ……あぁーっ!」

 

「ううっ……出る!」

 

ベンチの下の、芝生が剥げた地面向って、今日二度目の射精を僕はした。

 

「すっかり、遅くなっちゃったね」

 

「美由紀さん、駅から家まで、ひとりで大丈夫ですか?」

 

「なに言ってるのよ。平気、平気」

 

美由紀さんの花柄のスカートがふわりと動いて、駅のホームに降り立つ。

 

僕の鼻先を、秘密の匂いが掠めたような気がする。

 

「またね」

 

笑顔で、小さく手を振る美由紀さんをホームに残して、僕の乗った電車は再び走り始めた。

 

またね、か。

 

それはさあ、拓哉兄さんに勉強を教えてもらう日に、また会いましょう。

 

っていうことだよね?

 

今日の、あの公園での出来事を、また今度……っていう意味じゃないんだよね。

 

美由紀さんの、とっても普通な態度に、僕はうちのめされていた。

 

「ごめんねー、拓哉さんからさっき電話があって、今日は遅くなるから勉強は明日にしてくれって」

 

「ええっ、いまさら言われても、もう来ちゃったじゃないですか」

 

「うーん、だってえ、ほんとにさっき電話があったばっかりなんだもん」

 

僕は拓哉兄さんのマネをして、しかたがないなあ、という表情を作ってみせた。